部屋の中は静かで、月明かりがカーテンの隙間から薄く差し込んでいた。鏡の前に立ち、自分の姿を見つめる。白いレースがあしらわれたパンティーは、今日のために選んだ勝負の一枚。心臓が少しだけ速く鼓動するのを感じながら、私はそっとそのレースに指を這わせた。
「…これで大丈夫かな?」
つぶやくと、自分自身に少し不安を覚える。でも、このパンティーは特別なの。あの日、ふと立ち寄った小さな下着店で、一目惚れしたデザインだった。店員さんが「このパンティーを穿いた夜、きっと素敵なことが起きますよ」って微笑みながら教えてくれたことを、今でも覚えている。
彼と初めてのデート。特別な夜。彼を少しでも虜にできたら…そんなことを考える自分が、少しだけ恥ずかしかった。
「ねぇ、これを穿いたら、もっと自信が持てるかな?」
誰に向けたわけでもない問いかけ。けれど、答えはすぐにやってきた。鏡の中の私は、少しだけ背筋を伸ばし、微笑んでいた。薄いレースが肌に心地よくフィットし、まるでこの夜にぴったりの一枚だと囁いているかのようだった。
---
彼との待ち合わせ場所は、小さなイタリアンレストラン。店内に入ると、彼がすでにテーブルに座って待っていた。笑顔で手を振る彼の姿に、胸が高鳴る。
「遅くなってごめんね…」
「いや、全然。君が来るのを楽しみにしてたよ。」
その言葉に、少し緊張が解けた気がする。料理が運ばれてくるたびに、会話が自然と弾む。彼の笑顔、仕草、何気ない一言が、私の心をくすぐる。
「そういえば、今日は何か特別な日?なんか、君…いつもより綺麗に見える。」
彼の言葉に、思わず顔が熱くなる。このパンティーが、少しだけ自信を与えてくれたのかもしれない。店員さんの言葉が頭をよぎる。
「ううん、そんなことないよ。ただ…今日はちょっと気合い入れただけ。」
照れ隠しに笑ってみせるけど、彼が少しじっと私を見つめているのがわかった。その視線に、また胸がドキドキする。
「でも、なんだろうね。今日の君、なんか特別な感じがするんだよな。」
「そう?そんなことないと思うけど…」
---
ディナーが終わり、彼と一緒に店を出る。夜風が少しひんやりして、肩を寄せ合うように歩き出した。歩道の街灯が、二人の影を長く伸ばす。
「ねぇ、この後どうする?」彼がさりげなく聞いてくる。
少し迷った。でも、この夜は特別な夜にしたかった。彼をもっと知りたいし、もっと近くに感じたい。そう思って、少し勇気を出してみる。
「…もう少し、君と一緒にいたいな。」
彼が嬉しそうに微笑むのを見て、私も自然と笑顔になった。そして、二人はそのまま私の部屋へ向かうことにした。
---
部屋に入ると、静かな空気が漂う。二人きりの空間に、少し緊張が走る。けれど、彼が優しく手を握ってくれたことで、すべてが自然に感じられた。
「本当に…今日は来てくれてありがとう。」
「こちらこそ。君と過ごせて、本当に嬉しかったよ。」
彼がそう言って、私の頬にそっとキスをする。胸が高鳴る。彼の唇が触れた瞬間、すべての時間が止まったように感じた。
その瞬間、私はふと、自分の穿いているパンティーのことを思い出した。このパンティーが、何か魔法をかけてくれたんじゃないかって。彼がいつもよりも優しく、そして近く感じられるのは、きっとこのパンティーのおかげだ。
「ねぇ…少しだけ、言いたいことがあるんだけど。」
「何?」
「今日…特別な下着を穿いてるんだ。」
そう言うと、彼は少し驚いた顔をした後、にこっと笑った。
「それって…どういう意味?」
「うーん、今日のために選んだパンティーなんだけど、店員さんがね、『これを穿いて行ったら良いことが起きる』って言ってたの。だから、もしかしてこれ、魔法のパンティーかもしれない。」
彼が笑いながら私を抱きしめてくれる。心の奥底から、安心感が広がる。
「じゃあ、その魔法にかかってみたいな。」
彼がそう言った瞬間、私は確信した。このパンティーが、私に勇気を与えてくれたんだって。そして、彼をもっと近くに感じることができる、この特別な夜が始まるのだと。
---
部屋に漂う優しい灯りの中で、私は彼を見つめながら、自分自身に言い聞かせた。この一枚のパンティーが、ただの下着ではなく、私に自信と勇気を与えてくれる魔法のアイテムであることを。そして、今夜はきっと、二人にとって特別な夜になるに違いないと。
コメント
コメントを投稿