私があのドレスを初めて目にしたのは、ショーウィンドウの中だった。メタリックシルバーの光沢が、まるで夜空にきらめく星々のように輝いていたのを覚えているわ。 「お母さん、これ、素敵じゃない?」 隣にいた娘が指を差して笑う。 「こんな派手なもの、若い子向けでしょう?」 そう言いながらも、どこか心がざわついた。鏡の前でドレスを試着する自分を思い浮かべてしまったの。 その日から、何度も頭をよぎるのよ。パーティーの招待状が届いたとき、真っ先にそのドレスのことが浮かんだ。 ドレスを買いに行った日のこと。ショップの店員さんがニコニコしながら近づいてきた。 「とてもお似合いですよ。輝きが上品で、大人の女性にぴったりです。」 大人の女性。そう言われて少し安心したわ。でも、試着室で鏡を見ると、自分が少し場違いな気もしたの。 「もう中年って呼ばれる年齢だし、こんなドレスは大胆すぎるかな。」 小声でつぶやく私に、店員さんが言ったの。 「自分を輝かせるのに、年齢は関係ありませんよ。大切なのは、どう感じたいかです。」 その言葉に背中を押されて、私はドレスを買うことにしたわ。 そして迎えたパーティー当日。ドレスを着た自分を鏡で見つめると、心が躍った。 「似合ってるのかな…大丈夫だよね?」 自問自答を繰り返しながら、耳元には控えめなパールのピアスをつけた。 会場に入ると、視線を感じたの。女性たちがこちらを見てささやいている。 「あのドレス、素敵ね。どこのブランドかしら?」 思わず胸をなでおろしたわ。でも、それ以上に心に響いたのは、古い友人が私に言ってくれた一言。 「あなた、若々しくてとても素敵よ。今日は主役みたいね。」 その瞬間、迷いや不安が全部消えたの。 パーティーが終わり、家に帰ったあと、娘が私に聞いてきた。 「お母さん、どうだった?あのドレス、みんなに褒められたでしょ?」 「うん、そうね。ちょっと勇気が必要だったけど、買ってよかった。」 そう言いながら、私は微笑んだの。年齢を理由にあきらめる必要なんてない。何歳になっても、自分を輝かせるものを選ぶ権利があるって、あのドレスが教えてくれたのよ。 「ありがとうね、背中を押してくれて。」 娘の顔を見ながら、私はそっと呟いた。 翌朝、コーヒーを飲みながら、パーティーでのことを思い返していた。きらびやかな照明、賑やかな笑い声、そして何よりも、私を見つめる...